IO meets Development

開発経済学という学問分野は、途上国の経済成長を考えるという最低条件を満たしていれば、何でも含まれる、という性格を持つので、他の領域との親和性は必然的に高くなる。典型的な分野は、labor, health, political economyになるが、IOはあまりコラボされていないというworld bankのブログ記事。

part1, part2, and part3.

Finished the 1st year at Brown

ようやく1年目の全日程を終え、夏休みを満喫しています。(まとまりなく思ったことを書いていますが、ご容赦ください)

授業自体は5月に終わっていたのですが、コア試験の再受験を受けなければならず、居残り勉強のようなことをしていました。Brownのコア試験は、ミクロ、マクロ、計量の3科目で、全てに合格する必要があります。春学期が5月7日付近に終わり、5月20日から3日間隔で1回目のコア試験がありました。ミクロと計量は合格したものの、マクロ経済学が不合格となり、再試験を受けなければならなくなりました。2回目のコア試験は、8月5日でした。不合格の連絡をもらって、2週間くらいは休暇を取り、そこから先週までの約1か月半、マクロのみを勉強していました。結果的に、合格したので今からは何とでも言えますが、もう2度とは経験したくないと断言できます。もし2回目も不合格だと退学させられ(いわゆる、kick-out)日本に帰らなければならない、というプレッシャーは凄まじいものでした。(僕は本番で緊張しないタイプでしたが。。。) ただ、色んな人に支えられたのは事実なので、これからもアメリカで勉強できるという機会を活かして少しずつ恩返ししていければと思います。

1回目で失敗した理由を簡潔に述べると、時間が足りなかった、あるいは限られた時間内で効率的に勉強できなかった、というtime managementの失敗説だと、自分なりに考えています。1st yearは宿題が膨大です。そこをうまく世渡りしていくことが出来なかった、ということだと思います。特にマクロは、前年度より金融政策が追加された分、試験範囲が33%増しのような感じでした。

クラスメートは12人いますが、1回目ですべて合格した人は8人、そして残る4人のうち3人が1科目を8月に再受験、1人が2科目を8月に再受験し、見事全員合格し、2年生に進級できることになりました。通常、1回目でpass出来る割合 は60%、2回目までにclear出来る割合が80%らしいので、全員surviveという非常に素晴らしい結果を僕の学年は得ることができました。(1つ上の学年もdrop outは1人だけのようなので、昨年度から全体的にいい結果は続いています。) うちの学年は仲が悪いわけではありませんが、通常推奨されているスタディグループをほとんど形成しておらず、1人でもくもくと勉強するか、2人ずつくらいのペアで、本当に分からないところだけ聞きあう程度という、最低限のことしかやっていませんでした。なので、自分に合った勉強スタイルをどれだけ早めに確立できるかが勝負、ということになるかと思います。僕のように初めてアメリカで勉強する学生にとっては、この確立がなかなか難しかったです。

さて、9月から2年目が始まりますが、これからの4年間のためにアメリカに来たので、本当に楽しみです。2年目は、フィールド科目と呼ばれる専門科目を受講することになります。いま、考えているのは、development, labor, econometrics, およびgrowthの4科目受講です。

このBlogも研究ノートとして位置付けて、開発経済学およびその周辺分野の情報を頻繁に更新していく予定です。特に、自分の興味ある分野の論文の紹介、およびresearch statementや自分の研究内容(ただ、不正確なことは言いたくないので、あまり突っ込んだことはblogという形では残さず、論文にしてしまいます)に力点を置く予定です。専門的な内容になると思いますので、開発経済学や実証に興味を持っている方々に読んでいただければ、と思います。

コースワーク:日本語の教科書2冊

経済学留学の1年目のコースワークについては比較的情報がネット上にありますので、基本的にはそちらを参考にしていただきたいのですが、ぜひ紹介したい本がありますので、投稿してみます。

1年目のコースワーク時、基本的には教科書が指定されていれば、それを参考にするのが一番ですし、教科書が指定されていない授業はレクチャーノートを丹念に勉強することが鉄則です。しかし、時として、日本語の教科書に助けられることも数多くあります。得におすすめしたい日本語の教科書は、

マクロ経済学では、一橋大学の阿部先生の 『家計消費の経済分析』 

および、統計学では、野田・宮岡 『入門・演習 数理統計

の2冊です。どちらも素晴らしいので、ぜひご覧になってください。

 

ちなみに、Brownのコースワークは標準的な内容です。全てではないですが、使用した教科書はこんな感じです。

Math for Econ:

  • Real Analysis with Economic Applications by E. OK

Macro:

  • Recursive Macroeconomic Theory  by Ljungqvist and Sargent
  • Recursive Methods in Economic Dynamics by  Stokey and Lucas with Prescott
  •  Interest and Prices by Woodford

Micro:

  • MWG
  •   A course in Game Theory by Osborne and Rubinstein

Statistics:

  • Bierens, H.J. , Introduction to the Mathematical and Statistical Foundations of Econometrics, Cambridge University Press.  
  • Casella, G. and Berger, R.L., Statistical Inference, Duxbury Press. 
Bierensは難解ですし、Casella and BergerはあまりOrganized されていないように思えて、どちらもあまり僕は好きになれませんでした。

Metrics: Extremum estimator について、Newey and McFaddenの”Large sample estimation and Hypothesis testing”というHandbook chapter以外は、指定教科書はありませんでしたが、Greeneに沿っていたように思います。

 

新1年生

来年度、新たに11か国から13人の学生が加わるようです。残念ながら日本人は来ませんが、国籍もバラバラで、国際機関で働くというのはこんな感じなんだろうか、と思ったりします。僕の学年も12人ですし、他の大学と比べると少人数で小さなプログラムですね。それにしても1年早いな、よく分からないうちに過ぎてしまいました。

とうとう5月。現在、期末試験中、それが終わると3科目のコア試験です。なんとか、しがみつきたいと思っています。